不動産会社との専任媒介契約ってどうなの?不満を持った人の声や一般媒介契約との違い

s_43acfa6ecfe95c9e05b3db1a0f0ea79e_s営業トークに騙される前に必ずチェック!

不動産会社との交渉の際に必ず出てくるのが『専任媒介』『専属専任媒介契約』『一般媒介』の話。
営業におされてついつい、専任媒介契約や専属専任媒介契約したよ。という方もおられますが、実際のところどうなのか?調べてみました。

まずは各契約の違いを紹介し、その後不満を持った人の声、実際不動産屋はどう思っているかについて、解説しています。

専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)の特徴

・依頼した1つの不動産屋との契約で、他の会社には依頼できない。
・他社の媒介により成約したときは違約金が発生する。
・本人が自分で買い手を見つけたときは、営業経費など費用を支払う必要がある。
・依頼を受けた仲介業者は、売主への2週間に1回以上の状況報告が義務づけられている。
・レインズへの登録義務がある。

専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく)の特徴

・依頼した1つの不動産屋との契約で、他の会社には依頼できない。
・本人が自分で買い手を見つけたときでも、成約してはいけない。
・他社の媒介により成約したときや、自分で買い手を見つけて成約したときは違約金が発生する。
・依頼を受けた仲介業者は、売主への1週間に1回以上の状況報告が義務づけられている。
・レインズへの登録義務がある。

一般媒介契約(いっぱんばいかいけいやく)の特徴

・複数の不動産屋と媒介契約を結べる。
・契約する社名は明らかにする必要がある。
・明示していない仲介会社の媒介により成約したときは、営業経費など費用を支払う必要がある。
・レインズへの登録は任意。

※上記いずれの方法でも、契約期間は3カ月間となっています。こちらから申し出ることにより、延長出来ます。

ここまで見ていくと、専任媒介契約・専属専任媒介契約のしばりが多すぎてメリットがないように見えますが、実際どうなのでしょうか?

専任媒介・専属専任媒介契約にメリットはあるのか?

メリット1 状況報告がある。

・専属専任媒介契約の場合 1週間に1回以上の状況報告が義務づけられている。
・専任媒介契約の場合  2週間に1回以上の状況報告が義務づけられている。

メリット2 レインズへの登録義務がある。

・レインズというのは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムで売主は、不動産業界全体で買い手を探してもらえるので、早期の売却が期待できるという便利なシステムです。

メリット3 営業努力を惜しみなくしてくれる

・一般媒介契約と違い、広告などをうって広告がムダになるという可能性が低いので、広告費を多くだせます。

専任媒介で後悔している人の意見

専任媒介契約で後悔している高齢者のイメージ

2014年1月に母と義父(母の再婚相手)の家を売ることに決めました。

義父が亡くなるのとほぼ同時期に母も病気になり、車がないと生活できない郊外の一戸建てではとても一人で生活できないだろうから、母はケアハウスに入所して家を売ることにしたのです。

ケアハウスになじめないかもしれない、帰りたくなるかもしれない、売らなければよかったと思うかもしれないという考えもありましたが、反対に2014年4月から消費税増税、その当時くらいから老朽化した家の空き家問題が取り沙汰されていたこと、固定資産税や町内会費がずっとかかること、再婚なのでかえって不動産は早く現金化して義父の親族と折半した方がよいという考えもあり、責任を持って当たってくれるかなという思いから専任媒介で依頼しました。

しかし、専任媒介の契約期限の間に売りさばかねばという感じで、3か月ギリギリのところでけっこうたたき売られた感じでした。

素人なので相場は分かりませんが、購入された方とお話をする機会があり、
「とても安かったから買いました。」と嬉しそうに言われたからです。

消費税の問題も空き家問題も別に後から考えたら大した問題ではなかったので、結果が分かった上で過去に戻れるなら、絶対一般媒介にして少し時間がかかっても複数業者に依頼して検討したかったと後悔しています。

自営業、52歳、女性

近鉄不動産会社の支店が近くにあり、住んでいたマンションの価格査定を依頼することにしました。

住んでいたマンションは築年数はそれほど経過していません、一戸建て住宅に住み替えるために査定を頼むことにしました。 近鉄不動産株式会社は大手企業ということもあって、社員教育がしっかりとしているようであり、初めて来店した時の対応は非常に好感が持てました。

近鉄不動産株式会社の査定価格については、他の会社の査定結果と比べても割と良い結果だったので、近鉄不動産株式会社に頼むことを決めました。 専任媒介で契約をして売却をお願いしましたが、税務相談や司法書士相談などは有料で、所有権移転費用は売主も負担するなど納得いかない事があり売却することは他人にお勧めできません。

引用:近鉄不動産の不動産売却の評判

2020年9月に60歳を機に築20年の自宅マンションを売って仕事も辞めてUR賃貸にでも転居しようと考えました。

またこの時点でローンが半分残っており年齢も年齢なので、わかってはいたものの「あと10年もきびしい~」という心配もありました。

地元の情報に詳しい小さな不動産屋さんにお願いしようかなとも考えましたが、「やはり大手の支店が良いかも」とういう単純な考えもありネット上で目にとまった広告から「イエウール」を選び3社に見積もりをお願いしました。

3社のうち住友林業ホームサービス㈱に決めた理由は、単純な話査定金額が他の2社よりも数百万高かったのが決め手でした。(マンション購入時とほぼ同額の査定) また、他の2社のうち1社の担当者は年齢も若くバイタリティーと仕事への熱意がありましたが、「これはきっと会社内での自分の歩合給で必死なのかな?」と考えてしまいお断りしました。

色々ネットで検索など自分でも調べてみましたが、他の2社の方が妥当な金額なんだけど「本当にこの金額で売れるの?」と心配しましたが、 住友林業ホームサービス㈱の担当者は落ち着いた感じで「この金額で売れますよ」と自信を感じたためお願いすることにしました。

その後、住友林業ホームサービス㈱とは専任媒介契約を結びました。 それから内覧で買い手が数組来たのですが、すべて他社の地元の不動産屋さんが仲介する方ばかりで、住友林業ホームサービス㈱が直で仲介する買い手は皆無でした。

担当者は「なんでだろうなあ」と首をかしげるばかり、結局何度か契約更新をしたものの売却できず2022年4月で契約を終了することにしました。

全国展開する会社でもやはり担当者の熱意なのかなと思います。PCの前に座ってるだけの仕事しかしていないのだろうな、他社のあの若い担当者にお願いしたらとっくの昔に売却できたんだろうなと思います。

引用:住友林業ホームサービスの不動産売却の評判

初めてマンションを売却した際、一括査定システムで一番高い価格をつけていただいた明和地所株式会社と専任媒介契約を結びました。

買った時よりだいぶ高い査定だったので喜んでいましたが、市場価格より相当高かったらしく内覧の申込みは2~3カ月全く無くて、どんどん値下げせざる負えませんでした。

やっと内覧が入ったのが最初の査定価格から15%ほど値段を下げた時点です。営業担当者に話を聞いても納得のいく回答が無く、やる気もイマイチと言う感じだったため結局は専任媒介契約を解除しました。

仕方なく、別の不動産会社2社と一般媒介契約を結んだところ、2週間ほどで見込み客を連れてきてくれて、無事売買契約の流れとなり、売却ができました。

それはそれでよかったのですが、最初の頃の高い価格で売りに出していた時間は無駄だったなあ、という喪失感はありました。

引用:明和地所株式会社の不動産売却の評判

専任媒介と一般媒介のどちらがお得か?

一般媒介契約で高額で自宅を売却した高齢者のイメージ
では専任媒介契約、専属専任媒介契約、一般媒介契約のどれがお得なのでしょうか?

「もちろん専任媒介契約がお得です」と言いたいところですが、これは一概に言えないというのが正直なところです。

メリット1の状況報告に対して、今の状況がはっきり報告されますので良いですが、だからといって値段が高く売れるわけではなく、それほど大きなメリットではありません。

メリット2のレインズへの登録に関しても、それだけの理由で、専任媒介契約、専属専任媒介契約を選ぶのであればそれは間違いです。

一般媒介契約でも「レインズへの登録はしていただけますか?」と契約前に不動産会社にチェックすれば、一般媒介契約でもわりと普通にレインズへの登録はしてくれますので、大きな問題ではないでしょう。

問題はメリット3の『営業努力を惜しみなくしてくれる』という点です。これは皆さんおっしゃいますが、最大の問題は不動産業者のやる気だといいます。

専任媒介契約であれば、頑張って売ってくれる事が多いので、専任媒介契約するかたもいます。

ただ残念なことに『専任媒介契約をしたのに営業努力しない業者』というのも若干存在します。専任媒介契約して広告費や手間をかけなければ、コストがかからず利益が出るからです。

こういう業者は、専任媒介契約のメリットはありません。しかも不動産会社が売主にどんな販売活動しているか?報告する義務はないので、頑張っている頑張っていないすらも判断はできないのです。

『専属専任媒介契約なら高額で売れる?』元不動産屋Aさんに聞いてみた

元不動産屋にSOS
別の企画『元不動産屋が酔ったイキオイで告白!高く家を売る必勝方法』で元不動産Aさんに、専属専任媒介契約なら高額で売れる?聞いたので紹介します。

筆者:専属専任媒介契約なら高額で売れるというのは、本当ですか?

元不動産屋Aさん:「うちの会社ではほとんど専属専任媒介契約ですよ」「専属専任媒介契約にするとたくさん広告を出せるので売りやすいですよ」などと営業は90%以上『専属専任媒介契約』を勧めてきます。これは『営業のマニュアルトーク』ですので、気にしないのが一番です。専属専任媒介契約にして得をするのは『その業者』だけです」

それは困った…ではどうすれば良い?

不動産売却で頭を悩ませる人イメージ
正直いって専任媒介・一般媒介の判断は賭けです。
大手だからちゃんと宣伝するわけではありません。逆にCMでコストが高く付いている分、宣伝費をけちりそこで回収しているかもしれません。

逆にいうとどんな業者に頼んだって、レインズ頼みで、みんなちゃんと宣伝活動だってしない可能性だってあるんです。

そういう立場になって考えるとずいぶんシンプルになってきます。

みんなちゃんとしない可能性があるのなら、見積もりをたくさん取って、ある程度高い査定をだした複数社に一般媒介契約をお願いする。

そういうやりかたでも良いでしょう。

専任媒介などの契約期間は3カ月間となっています。こちらから申し出ることにより、ストップすることも出来ます。

どうしても専任媒介じゃないと不安という方は、見積もりをたくさん取って、ある程度高い査定をだした複数社の中から一番信用できそうなところにお願いするというのが良いでしょう。

不動産売却は人生最大規模でお金が入るチャンスですから、不動産屋にいいようにカモにされてはいけません。
以下の記事に不動産屋を出し抜く方法が記載されていますので、参考になさって、家族に自慢できる最高額を勝ち取ってください。