瑕疵(かし)担保責任と免責条項の活用法

2025年6月22日

このテーマについては、 必要以上に構えなくても大丈夫です。 押さえるべきポイントは限られています。

不動産売却において、売主が気をつけなければならない重要な法律的責任のひとつが「瑕疵(かし)担保責任」です。これにどう向き合い、必要に応じて「免責条項」を契約に盛り込むかによって、売却後のトラブルリスクが大きく変わってきます。今回は、瑕疵担保責任の基本と、免責条項をどのように活用するべきかをわかりやすく解説いたします。

1. 瑕疵担保責任とは何か?

「瑕疵」とは、物件に本来あるべき性能や品質が備わっていないことを指します。不動産においては、雨漏りやシロアリ被害、配管の不良などが代表例です。これに対し、売主は一定の期間内に発覚した隠れた瑕疵について責任を負うのが「瑕疵担保責任(現行では『契約不適合責任』)」です。

1.1. 2020年の民法改正で何が変わったか

  • 旧民法:「瑕疵担保責任」として、隠れた瑕疵に対する責任が発生していました。
  • 現行法:「契約不適合責任」に改正され、売買契約の内容と異なる場合には、買主は追完請求や代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などができるようになりました。

1.2. 責任の対象となる瑕疵の例

  • 雨漏り、シロアリ、基礎のひび割れ
  • 配管の老朽化による漏水
  • 電気設備の不良、給湯器の故障など

2. 瑕疵担保責任の期間と売主の対応義務

2.1. 買主からの通知期間

  • 契約書に特約がない場合、原則として引き渡しから1年以内に発覚し、通知されることが条件です。
  • 特約によって短縮可能ですが、あまりにも短いと無効と判断されることもあるため注意が必要です。

2.2. 売主の対応義務

  • 買主から契約不適合が指摘された場合、売主はまず「追完義務(修繕など)」を負うのが基本です。
  • それが不可能な場合には、代金の一部返還や損害賠償、最終的には契約解除に至ることもあります。

3. 免責条項の活用方法

3.1. 個人売主ができる免責の工夫

  • 売主が不動産業者でない個人の場合、「現状有姿で引き渡す」「契約不適合責任を負わない」旨を契約書に明記することで、一定の免責が可能です。
  • ただし、意図的な瑕疵の隠蔽や、重要事項説明に反するような場合は、免責条項が無効になる可能性があります。

3.2. 有効な免責条項の書き方

  • 例:「売主は、本物件を現状有姿のまま買主に引き渡すものとし、契約不適合責任を負わない。ただし、売主が知り得た重大な不適合については、買主に通知済みとする。」
  • ポイントは、売主が知っていた不具合は買主に伝えた上で、「現状引き渡し」であることを明記する点です。

3.3. 免責が難しいケース

  • 売主が宅建業者の場合、民法や宅建業法によって免責の範囲が制限されています。
  • また、買主が消費者である場合、「消費者契約法」により過度な免責は無効とされることもあります。

4. 瑕疵トラブルを防ぐために

4.1. 引き渡し前のインスペクション

  • 専門業者による建物診断(インスペクション)を行い、事前に瑕疵を確認することで、買主との認識のずれを防げます。

4.2. 写真や書類による証拠化

  • 建物状態の写真や、修繕履歴、説明資料などを買主に渡すことで、「言った言わない」のトラブルを予防します。

4.3. 契約書・重要事項説明の明確化

  • 不動産会社を介する場合は、重要事項説明書と契約書を連携させて、不適合項目を曖昧にしないことが肝要です。

まとめ

瑕疵担保責任(契約不適合責任)は、不動産売却における売主の大きなリスクとなり得ますが、「免責条項」を正しく活用することで、そのリスクを一定程度軽減することが可能です。ただし、免責の有効性には限界があり、買主との信頼関係や情報開示が前提となります。トラブルを未然に防ぐためにも、契約書の記載には細心の注意を払い、必要に応じて専門家の力を借りることをおすすめします。


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