確定申告が必要な場合とその手順
不動産を売却した場合や一定以上の副収入がある場合には、「確定申告」が必要となることがあります。しかし、初めての方にとっては「自分が申告対象なのか」「どのように手続きすればよいのか」が分かりにくいものです。そこで本記事では、確定申告が必要となる主なケースと、実際の申告の流れについてわかりやすく解説いたします。
1. 確定申告が必要となる主なケース
1.1. 不動産を売却して利益が出た場合
- 不動産の売却により譲渡所得が発生した場合、所得税・住民税が課税対象となるため、確定申告が必要です。
- 3,000万円特別控除などの節税特例を適用する場合も、確定申告が必須です。
1.2. 給与所得が2,000万円を超える場合
- 年収が2,000万円を超える会社員は、年末調整では完結せず、自身で確定申告を行う必要があります。
1.3. 副業や不動産所得がある場合
- 給与所得以外の所得(副業、賃貸収入など)が年間20万円を超えると、申告義務が発生します。
1.4. 医療費控除や住宅ローン控除の初回適用
- 年収や所得の大小にかかわらず、医療費控除やふるさと納税などの控除を受けるためには、確定申告が必要な場合があります。
2. 確定申告の基本的な流れ
2.1. 申告期間
- 申告対象年の翌年2月16日〜3月15日までが提出期間です。
2.2. 申告に必要な主な書類
- 源泉徴収票(給与所得がある場合)
- 売買契約書(不動産売却時)
- 登記簿謄本、取得費・譲渡費用の明細
- 特例適用書類(3,000万円控除など)
- マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
2.3. 確定申告書の作成
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、初心者でもスムーズに入力・計算が可能です。
- 不動産売却に関する「分離課税用」の申告書を使用します。
2.4. 提出方法
- e-Tax(マイナンバーカードまたはIDパスワード方式)
- 郵送(税務署宛)
- 税務署の窓口持参
3. 不動産売却における確定申告の注意点
3.1. 所得の種類は「譲渡所得」
- 給与などの総合課税とは異なり、譲渡所得は「分離課税」として独立して課税されます。
3.2. 所有期間で税率が変わる
- 5年以下:短期譲渡所得(39.63%)
- 5年超:長期譲渡所得(20.315%)
3.3. 特例を活用して節税
- 3,000万円特別控除、10年超所有による軽減税率、相続財産取得費加算など
- これらは申告しなければ適用されませんので注意が必要です。
3.4. 損失が出た場合も申告すべき
- 居住用不動産を売却して損失が出た場合、他の所得との損益通算や繰越控除が可能となる場合があります。
まとめ
確定申告は、税負担を正しく計算し、必要であれば特例による節税を適用するための大切な手続きです。不動産売却や副収入がある方はもちろん、控除を受けたい方も対象となります。手間はかかるものの、正しく行うことで思わぬ税金の還付や節税効果を得ることも可能です。不安がある場合は税理士に相談し、万全の準備を整えて申告に臨みましょう。